ファイアーエムブレム 風化雪月
紅花の章 レビューとクリア感想
総合評価
評価:名作
神への挑戦というダイナミックなテーマの中で孤独に戦うエーデルガルト。
エーデルガルトは応援したくなる魅力的なキャラクターでした。紅花の章もある程度情報が揃って見返してみると、とても面白い物語だと思います。
人類の希望としてのエーデルガルト
最初の敗北
神祖ソティスに反旗を翻した人類は戦いに敗れて地底に身を隠します。ここからアガルタの民(闇に蠢くもの)の歴史が始まります。
二度目の敗北
ソティスの亡骸を盗んだ墓暴きの盗賊ネメシスと手を組み、天帝の剣を開発。ザナドを襲撃して、眷属を血祭りにあげます。眷属の亡骸からフォドラ十傑の武器(英雄の遺産)を開発。
勢力を増したアガルタの民ですが、英雄戦争でソティスの眷属(レア様と四聖人)が率いる軍勢に敗れます。
セイロス聖教会が舞台ということもあって、ついレア様に寄った目線で見てしまいますが・・
フォドラの歴史を紐解けば、人類は神祖ソティスとその眷属による支配を受け入れざるを得ない弱者だったと言えます。
アガルタの民(闇に蠢くもの)が神に反旗を翻し続けたことは、人類目線で言えば当たり前のことではないでしょうか。
現在も神祖ソティスの代行者として、眷属であるレア様がフォドラを治めています。
レア様のセイロス教を受け入れない者を受け入れないという排他的な姿勢は、凡そ人類を救ってくれるようには見えません。
士官学校編ではレア様がセイロス教に反旗を翻した勢力を始末するのを見てきました。あれは今までのフォドラの歴史の縮図のようにも見えます。
アガルタの民(闇に蠢くもの)は、神の支配から人類を解き放つために執念深く生き延びてきた人間です。
炎の紋章を宿したエーデルガルトは彼らの研究の最高傑作。三度目の神への挑戦に相応しい逸材です。
紋章による支配を終わらせるために神を倒す
エーデルガルトが主役の紅花ルートは、神(ソティスとその眷属)と紋章(闇に蠢くもの)による支配から抜け出すことがテーマ。
炎の紋章を持つエーデルガルトと先生。二人が手を取り合って、歪んだ世界を正す。
「闇に蠢くもの」によって宮殿の地下に閉じ込められて人体改造されたエーデルガルト。両親の代から続く人体実験によって炎の紋章を得た先生。二人の悲劇の主人公の出会いは運命を感じさせる説得力がありました。
神との戦いに敗れ続けたとはいえ、紋章の力を使い世界を裏から支配しているアガルタの民(闇に蠢くもの)。フレンの誘拐事件から分かるように紋章の力の根源は、神とその眷属の血です。
紋章による支配を終わらせるために、まずは力の根源たるセイロス聖教会(神とその眷属)を滅ぼさないといけない。そのための宿敵との共闘。
最終目標のハードルは限りなく高く、我慢と忍耐を要します。
先生が人間に戻ることができる唯一のルート
ソティスとの共存も悪くはないのでしょうが・・・
最後の場面でソティスの心臓が消滅し、先生は息を吹き返します。ここでやっと先生は、生まれて初めて一人の人間として生きていくことが可能になります。
ソティスの心臓を埋められて紋章を得た被害者という意味では、先生が救済される物語とも言えます。
紅花の章は弱者が救われるルートなのかなと個人的には感じました。
紅花の章だけ短い
紅花の章で不満があるといえば、6つのエピソードで終わってしまうことでしょう。蒼月の章、翠風の章と比べるとあまりにも短い。
また、「闇に蠢くもの」との戦いが残っているにも関わらず、幕引きしてしまう点は残念でした。
エーデルガルトの物語は、紋章による支配を終わらせないことには完結しないのではないでしょうか。
最初にエーデルガルト編をクリアして他のルートに行くユーザーが大半だろうから短めにしたのかな?と考えたりもしましたが、開発の本音のところは分かりません。
黒鷲学級の生徒たちは魅力的なキャラクターだったので、もう少し紅花の章を見たかったというのが正直な感想です。