初リリース日: 2018年10月18日
発売元:フリュー
総合評価
評価:微妙ゲー
CRYSTAR -クライスタ-のストーリーはギリシャ哲学をベースに練られています。
物語は独自性があって面白かったです。
キャラクターや悲劇的な世界観も良くできていると思いました。BGMもカッコよく、自室でサウンドテストできる仕様はグッドでした。
しかし、いかんせん戦闘の単調さとマラソンが苦行でした。問題はアクションパートの硬直と芸のないループ設定でしょう。
零の13連撃(Art.ブライトラッシュ)と777ビーム(Spell.777Doodle)。これらが使えるようになると戦闘が楽になりました。
レベル40を超えると使えるようになりますが、それまではバトルに派手さはなく、結構しんどかったです。
良かったところ
暗い話だけどキャラクターは魅力的
キャラクターは全員素晴らしかったですね。
最後までプレイすれば777を好きになること間違いなしです。個人的には千の生真面目なところも好きでした。
2回目の8章は特につらかったですが、憎悪で歪んだ姿を見ても千のことを嫌いになれない。バカ正直で不器用なところを含めていい子だなと思いました。
物語については、徐々に真実が明らかになる展開でした。主人公と仲間たちの善人であるが故の葛藤がもどかしくもあり、応援したくなるものでした。
ギリシャ哲学の入口として見ると面白い
CRYSTAR -クライスタ-はギリシャの哲学者たちの逸話を現代風にアレンジしています。
これはシナリオライターの大胆な挑戦で、面白く感じました。
零(ヘラクレイトス)
万物流転の結末や、ヘラクレイトスが泣く哲学者と言われていることが主人公自身と作品に反映されています。
幡田零という主人公の名前で、この作品は涙が零れる悲劇とパンタ・レイ(万物流転)の話と説明できるのがいいですね。設定の作り込みの深さを感じさせます。
千(ソクラテス)
ソクラテスの最後のエピソードを使って悲劇を見せてくれました。2回目の8章の救いようのない話の展開もよくできていたと思います。クライスタの中で一番気に入ったキャラでした。
小衣(ディオゲネス)
ディオゲネスとプラトンの対立のエピソードをそのままに・・・小衣とアナムネシスが対立する構造になっていましたね。3回目の8章の小衣はループの中で鍛えられて、不動心を得たようでした。
777(エピクロス)
愛すべきキャラでした。悲劇的な話だと、おバカキャラは癒しになります。
エピクロスの言う「快楽」は現代的な意味合いと違って、心が穏やかであること。だからこそ、快楽を害するものはいらない。この考え方は、少欲知足を説く仏教にも近い気がします。
777が本来の意味での快楽主義をもたらすのだとすれば、これからの辺獄には慎ましく穏やかな日々が訪れるかもしれません。彼女に辺獄の統治を任せたのは大正解だったのかもしれませんね。
悪かったところ
8章の周回マラソンで心が折れた
8章は周回ごとに話の展開が変わり、真実が明らかになっていきます。
話の構成としては悪くはないのですが、いかんせんやることが同じルートのマラソン。いくら先の展開が気になるといっても、同じルートを周回し続けるのはしんどかったです。
8章のループ展開でプレイヤーのココロが折られる可能性が高いというのがクライスタをお勧めしづらい最大の理由です。
さいごに
最終章はご都合主義な点もありましたが・・・
小衣の一番の見せ場などもあって少し感動しました。
777は最後まで癒しで、暗い話に光を灯してくれるお気に入りのキャラクターでしたね。
「えきさいてぃんぐ」が最初から最後までツボだったフレーズです。