初リリース日: 2014年12月18日
開発元: 5pb.、 ニトロプラス、 MAGES.
カオスチャイルドのレビューと感想。
カオスチャイルドは体験版をやった時にトップ画面の不気味な印象が怖くてスルーしたのですが、アマゾンのレビューで高評価が多かったので買ってみました。
総合評価
評価:良ゲー
カオスチャイルドはプレイして良かったと思えるソフトでした。
グロ描写に耐性がないので、周回プレイがやや苦行に感じることもありました。ただ、それを差し引いても秀逸なシナリオ。
現実と妄想と嘘を行き来してプレイヤーの心を揺さぶってくる作品。人にお薦めできないのが残念ですが、個人的には85点くらいスコアをつけたい良作でした。
幼馴染の尾上世莉架(オッケーさん)がラブホの裏口を通ってジュース買ってきてしまったせいで、事件に巻き込まれていく主人公。エンディングまで行ってみると、個人的に一番怖いのはここでの早口セリフだったりします。
途中で心を折られることが一度ありましたが・・・
怒涛の展開のおかげであっという間に共通ルートクリア。共通ルートの謎は個別ルートで解き明かされていきます。それぞれのストーリーが練られていて、どのルートも楽しめました。
そして最後にTRUEルート。
家族、嘘、妄想、優しさ、といった散りばめられたテーマが繋がります。
全体の構成はとても良く出来ていて、素晴らしいと思います。
来栖乃々編
個別ルートは、迷わず来栖乃々からスタート。
攻略サイトを見ると乃々ルートは最後にやった方がいいと親切に書いてくれているのですが・・・来栖乃々の正体が知りたくて、我慢できませんでした。
正体については、やっぱりかという感じでした。ですが、最後のまとめ方がよくてジーンときました。
主人公(拓留)が序盤から異様なまでに嘘を嫌うところに馴染めなかったのですが、クリアしてから考えてみると、全部伏線だったんだなと改めて感心します。
嘘と現実が何度もひっくり返って、何が何だか訳が分からなくなる。それでも、最後には綺麗にまとまるところが、この作品の醍醐味でした。
有村雛絵編
雛絵には本編後半の癒しとして随分お世話になりました。それだけに、個別ルートの期待値が高かったです。
前半は期待に応えてくれる展開。デートイベントもあり、個別ルートやってよかったなと素直に思いました。
浮かれた気持ちになった分、報われない後半のオチはきつかったです。個別ルートはハッピーエンドに期待しすぎてしまったせいか・・・落差にやられてしまいました。
ちなみにファンディスクのカオスチャイルドらぶchu☆chu!!で、やって欲しかったことを補完してくれています。
山添うき編
うきは最初に会った時は敵になるのかと思っていたのですが、あっという間に家族の一員になってましたね。
本編ではもう一人の妹になってしまっていて、いまいち絡みがありませんでした。その分、個別ルートは気になるところでした。
二度と見たくない中盤の事件から派生するこの個別ルートは優しい妄想から始まります。過去の事件はかき消され、主人公には充実したリアル生活が待っています。
おかしい。
今まで悲惨なものを散々見せつけられてきた身からすると・・・こんなものは出まかせに決まってると突っ込みたくなるような甘くて優しい世界でした。
ただ、気休めでも、こういうのがあっても良かったのにと思ったりもしました。ここまで来るのに大分、精神をえぐられましたから。
うき編は、創られた世界から目覚めるとどうなるのかを2本立てで見せてくれます。
このテーマはトゥルーにも掛かってくるカオスチャイルドのテーマでもあります。
香月華編
本編ではしゃべらないので、何かあるのかな?と思ってたら1週目が終わってました。
華編といえば「超強い力士シール」!!
シュタゲの林さんが書いたシナリオはぶっ飛んでますね。
声にしたものが具現化するという、ある意味で最強の能力者候補の香月華。
自分が声に出してしまったせいで、他人が不幸になってしまったのではないかという思い込みは、多かれ少なかれ誰にでもあったりするものですが、華の場合もはや測定不能レベルですから可哀想でした。
しゃべらないと決めて、それを通しているのが偉い。
和久井先生が黒幕というのも、お約束とはいえ悪くはなかったですね。ただ、華編で倒してしまった印象が残りすぎていてトゥルーで再登場した時に黒幕って感じがしないのが残念です。
TRUEルート
TRUEルートは尾上世莉架編でもあります。
碧朋学園の生徒が特別みたいな話は本編で何度か見た記憶はありましたが、老人化のことは全く気づきませんでした。前作のカオスヘッドをプレイしていないので、その辺は素直に驚きでした。
おばあちゃんの乃々が世莉架に抱き着いてる写真を見て・・・何が起こってるのか分からなくなって、私はフリーズしてしまいました。
前作のカオスヘッドをプレイした人にとっては予想通りの展開なのでしょう。しかし、今作から入った身としては想定のナナメ上でした。
最後は交渉というか、現実的な落としどころを見つけましたね。そういった意味では良かったのかなと思います。
紆余曲折を経て短期間で聖人君子のようになった拓留の献身。カオスチャイルド症候群の患者たちに救いはあることが分かったのは幸いでした。
最後の場面で尾上世莉架は記憶が戻っているのか、いないのか・・・想像の余地を残したまま終わってくれたのはグッドでした。