初リリース日: 2021年6月24日
販売元: フリュー
総合評価
評価:良ゲー
メインストーリー、キャラエピソードも練られていて感心しました。
茉莉絵のエピソードなど前作を補完している部分もあるのですが、カリギュラ2単体としても十分に面白いのではないかと思います。
仮想世界リドゥを抜け出す話ではありますが、学校生活でのエピソードが混じっていて、帰宅部や楽士の交流が随所に描かれているところが良かったです。
ロード時間もあまりなくてノーストレスでした。
難易度イージーがあるので、ヌルゲーマーでもクリアできます。
残念なところは、グラフィックが微妙でややチープさを感じるところ。
キャラクターエピソードは帰宅部・楽士ともに薄味になっているので、前作のような濃いキャラを期待する人には物足りないかもしれません。
良くも悪くも、尖り過ぎだった前作を万人受けする形に修正した感じでした。
イマジナリーチェイン
バトルの仕様は基本的に前作と同じ。
イマジナリーチェインで敵の動きの予想を見てからこちらの連携攻撃を組むことができるシステムは健在。
行動入力が1回になったので雑魚戦がサクサク進むようになったのは好印象です。
主人公が敵を打ち上げて能登吟のボーガンで仕留める連携は気持ちよくて癖になります。
アクティブターンなので、序盤は行動後に棒立ちになってしまう時間があってモヤモヤしますが、4人で戦えるようになってからは気にならなくなりました。
ボカロPの楽曲
カリギュラはボカロPの作った曲が戦闘中に流れるのが一つの特徴になっていて、戦闘に入ると歌が入るギミックは今回の続編でも変わっていません。
今作の楽曲も良い感じです。
ムー君のステージで流れるポリスピカデリー作曲のスワップアウトのポップな感じが特に気に入っています。
バトル時の背景に歌詞が表示されるようになったのはちょっとした進化ですが、聞き取れない歌詞も多いのでありがたかったです。
キャラクターの掛け合い
ストーリーではキャラクター同士の会話が面白くてモチベーションになりました。
キィのやたらと元気なところは前作のアリアっぽさがあり、強引なストーリー導入部分も違和感なく見ることができました。
マイペース過ぎるささら、不良少女の切子、決断ができない鐘太と危なっかしい面子が揃う二代目帰宅部ですが、ストーリーの経過とともに不思議と団結していきます。
そういった過程がしっかりと描かれているので、メインシナリオはよく出来ていると思いました。
バトル終了後の掛け合いもちょっとした楽しみで、小鳩先輩関連が結構面白かったです。
キャラクターエピソード
キャラエピソードはある程度親交を深めて、心の奥に踏み込んでからが本番。
選択肢を間違えるとロックが掛かるのですが・・・意外と難しかったりします。
キィポイントを使ってやり直すなり、直前からロードし直せば済む話ですが、ちょっとバツが悪いこともあって、毎回選択肢に悩みました。
2代目帰宅部のイチオシは駒村二胡。
顔芸と豹変っぷりに初代帰宅部の面影を感じました。
あっさりとエピソードが終わってしまう部員もいる中、おどろおどろしいものを見せてくれたので印象に残りました。
あと、ゴンタ先輩の話もいいですね。
改善するのではなく諦めるというアプローチを選ぶというのも立派な選択なのかもしれませんね。
また同じ事態に陥ってもきっと同じことをするだろうから仕方ない。
ニーチェの言う永劫回帰のような力強さと、変えられないことは諦めるという仏教的な捉え方の合わせ技のような着地点は上手いなと感心しました。
特に心に残るエピソードでした。
キャラクターエピソードで切子が言っていたように、リドゥで過ごす時間は帰宅部にとってもう一度自分を見つめ直す猶予期間になりました。
時間が解決してくれる問題というのは確かにあるのだと思います。
現実では解決できなかったことの糸口を仮想世界で見つける。
一見、遠回りしたように見えて、実は間違いではなかったとも言える・・・帰宅部にとってリドゥでの時間はそういった貴重なものになったのではないでしょうか。
楽士との戦い
前作とは違って絶対に現実に帰りたくないという強い意志を持った楽士が少ないのはちょっと残念でした。
また、前作同様に楽士たちが変態的な個性を見せつけてくれることを期待していたので、もう一声欲しかったというのが本音のところです。
ただ、楽士サイドが一枚岩でなく、複数の思惑が重なることでストーリーが読めなくなるのは面白い展開でした。
ストーリー後半は盛り上がったのでこれはこれでありかなとも思います。
クリア後の再戦でより詳しいプロフィールやリドゥに来た経緯を見ることができます。
テキスト形式であっさりしていますが、本編での会話と照らし合わせると納得がいくことも多く、プレイして良かったと思いました。
ストーリーの感想
天吹茉莉絵と水口茉莉絵の関係性はやはり気になるところでした。
それだけに6章と茉莉絵のキャラクターエピソードは特に心に残るものがありました。
茉莉絵ちゃんの現状を考えると、変に希望を持たせるよりも6章エンディングの方がむしろいいようにも思えたのですが・・・キャラクターエピソード最後の「ありがとな」を聞いてしまうと、茉莉絵ちゃんを連れて現実に帰るしかないと強く思うようになりました。
ブラフマンとリグレット関連については正直あまり刺さらなかったのですが、茉莉絵関連のエピソードがとても気に入ったので、メインストーリーの満足度はかなり高かったです。
続編への期待
カリギュラ2は前作と関連小説を上手く組み合わせているので、とても綺麗に終わっています。
ある意味ここでおしまいでも特に驚きはありません。
ただ、今回の続編でイマジナリーチェイン・ボカロPの曲・キャラクターエピソードといったこのゲームの核となる部分が洗練された形になりました。
雛型は出来ているのだから、ブラッシュアップしてカリギュラ3を出すのもアリでは・・・と少しだけ続編に期待しておきたいと思います。